Ferrari B.B Berlinetta Boxer

フェラーリBB。スーパーカー西の横綱。今年の最後にふさわし
いかと思いまして。

かつてフェラーリBBには、365GT4BBと512BB、
512BBiと3種類のモデルがありましたけれども、365
は365cc×12気筒、512は5リッター12気筒、iは
インジェクションで、”Ferrari B.B Berlinetta Boxer”なんて
いうモデルはありません。

写真はいわゆるプロトタイプで、1971年のトリノ・モーター
ショウに展示されたそのもの。私が生まれる前の話だから、文献
等によるのですが、ピニンファリーナのブースで発表されたとか。

DEAセンターと言われた、当時最新鋭の風洞実験設備で空力性
能を設計されたプロトタイプは、現在もピニンファリーナにあり
ます。

ピニンファリーナは、トリノ・カンビアーノに本社があり、本社
内にはコレッツィオーニ・ピニンファリーナなるプライヴェート・
コレクションがあります。

フェラーリがヴィーナスになり、スーパーカーが女王になるその
秘密がこのプライヴェート・コレクションにあることは、誰でも
容易に見つけられることでしょう。

その容易に見つけられることは、しかしながら、その印象とは裏
腹に非常に厳しい山とか壁を越えたところにありました。

ピニンファリーナのWEBサイトを覗くと、このコレクションも
掲載されていて誰でも見ることができ、また連絡先も書かれてい
て俄かに期待が高まります。
http://www.pininfarina.it/index/collezionisti/collezionePininfarina

されど、これを見て何度も連絡を入れましたがまったく無しのつ
ぶて。モンツァの時期に合わせてトリノにも出向きたいと、半年
以上前からメールを送りますが、こちらからのメールが届いてい
るのかいないのか、もしや日本語のメールは迷惑フォルダにでも
フィルタリングされているのではないかというくらい、まったく
音沙汰がありませんでした。

その後時間が経過して夏になり、出発直前になって再度連絡して
も同様で、やはりピニンは自動車メーカが相手の事業だから、まっ
たく関係もコネも何もない一個人ではダメなのかと失望しつつ、
ホテルを予約して日程もフィックスしたのでした。

スパでオー・ルージュを見て、パリからTGVでフランスを縦断
すると、ジャン・アレージの故郷アヴィニョンに着く頃にはもう
今週にはトリノに入ってしまうという日程です。スコールの降る
プロヴァンスのホテルで休息を取る1日でも、カンビアーノが気
がかりでゆっくり休めません。

そうして、もう一度。最後の悪あがきダメ元で連絡してみると、
奇跡的にOKの返事がきました。もうベッドの上で狂喜乱舞です。
週明けに判明したことには、事務所の留守電に「Mr. Inomata,
Visiting cambiano torino〜」とコンファームの連絡が入ってい
たそうです。

こちらは、もちろんすぐにリコンファームをしてフィックスし、
ようやくスーパーカー・ブーム以来といいますか、物心ついた時
以来の念願が成就してヴィーナスとの対面です。

365も512も知っていますが、何かが違う特別な一つに初め
て触れる感覚。これを夢の実現といわずして何をいうのでしょう。

しかし息を呑むような美しいものを目前にすると、どうやら理性
も感性も両方とも高ぶり過ぎてメーターを振り切ってしまうのか、
声も手も出ません。

自動車メーカご一行のように仔細を検分するわけではなく、デザ
イン学校の修学旅行のようにディスカッションするわけでもなく、
ただただ一人で存分にコレクションを独り占めしていいと言われ
ると、手も声もでなくなるんです。

何をどうしたらいいのか分からず、何から見ればいいのか分から
ず、許された時間のなかで忘却を許してはならないところにばか
り意識が働いて、シャッターを切ったのでした。

Ferrari BB Prototipo

Ferrari BB Prototipo

Ferrari BB Prototipo

Ferrari BB Prototipo

Ferrari BB Prototipo

Ferrari BB Prototipo

Ferrari BB Prototipo

それでは、皆さま、どうぞよいお年を。

感謝!