自動車競走の歴史は、自動車発展の歴史と並行しています。

21世紀の現在でも自動車は決して安い買い物ではありませんが、
昔は一握りの金持ちが一生に一台買うかどうかであったろうことか
らして、通勤や家族サービスの道具ではなく、もっぱら趣味の道具
だったからこそ技量やスピードを競うようになったようです。

そういう一部の特別な存在だった自動車と自動車レースにとって、
現在のように競技用施設としてサーキットが常設されているなどと
いうことは少なく、レースイベントの際に既存の道路を歩行者天国
よろしく一時的に閉鎖して、一般大衆の観客を巻き込んでスポーツ
と興行が開かれてきました。大相撲の名古屋場所や九州場所と同じ
ですね。

さて、今回訪れたスパ・フランコルシャン・サーキットは、つい10
年ほど前まで、一般公道を封鎖する伝統的なオーガナイズでF1レー
スが開かれていた、本当にオーセンティックなグランプリで今でも
その名残が残っていました。

ベルギーの首都ブリュッセルとドイツのユーペンを結ぶ幹線鉄道上
ヴェルヴィエールからのシャトルバスが到着するのは、名物1コー
ナー「ラ・ソース」の手前です。

グランプリ観戦客相手のスナックバーやアパレル販売のテントが両
側に並び、ホテル・ラ・ソースを過ぎて突き当たるゲートはそのま
ま本当にラ・ソースに出てしまうコース直前でした。

Circuit de Spa-Francorchamps

Formule 1 Shell Grand Prix de Belgique

スパでのF1は初めてのため、王道のオー・ルージュは外せないと
スタンドのチケットを確保しましたが、土曜のフリー走行には寒風
が吹き荒れ吐く息が白くなるほどの寒さだったため、とてもその場
にジッとしていられず歩くことにしてサーキットを一周しました。

ラディオン上からケメル・ストーレートをエンドまで歩いてシケイ
ンが山状に勾配がついているのを確認しつつ、シケインを曲がらず
に直進すると、そこは再び中央に白い破線の入った一般公道である
ことが分かります。

Circuit de Spa-Francorchamps

こちらもまたランオフエリアのところに即席の鉄条ゲートがあり、
そのまま山の中の峠道につながっているのでした。

Circuit de Spa-Francorchamps

歴史的にみて、今でも一般公道を封鎖して開催されるグランプリに
モンテカルロに代表される市街地コースと、その派生形になるメル
ボルンやモントリオールがあり、片や常設のとりわけF1開催のた
めに建設されたクアラルンプールやイスタンブール等があり、これ
らのちょうど中間にスパやシルヴァーストンやモンツァがあります。

世界各国の様々なサーキットでグランプリが開催されていますけれ
ども、とりわけ魅力的なレースが行われるのは自然発生から伝統に
なって現在でも継続されているコース、歴史に耐えて生き残ってい
るからこその理由ではないではないでしょうか。

F1のために新規建設されるサーキットでグランプリを開催するの
は、確かに新鮮な観客をサーカスに引き込む効果があり、社会にニュー
スを提供し続けられるメリットも大きいわけですが、それ以上に現
在のグランプリの価値構築に大きな功績を挙げてきたクラシック・
コースと呼ばれるサーキットには、この功労を称えるだけの永続性
の価値を付加してグランプリ・サーカスを再創造するような正攻法
でのFormula1であって欲しいと願います。

感謝!