ウィスキー復活第2弾は、こちらも昨今ボトルがリニューアルされ
たスプリングバンクでした。


スプリングバンク 10年

スコットランドのウィスキー生産地は、北か南かのハイランド、ロー
ランド、地域を示すスペイサイド、アイランズ(諸島)、特定の場
所を示すアイラ、キャンベルタウンに分類され、このスプリング
バンクは最後に登場のキャンベルタウンという町で作られるウィ
スキーです。

たったひとつの町がスコットランド全体のなかで区分されるのは、
かつて一大生産地だったからなのですが、現在は確か2ヶ所残存
するのみだったはずですので、ローランドの蒸溜所とともに貴重
な存在です。

さらに貴重なのは、ここの蒸溜所もフロアモルティングを行って
おり、さらに自社で瓶詰設備も持っている(ということはアルコー
ル度調整のための加水とウィスキー蒸留水が同一で品質高し!)
という2つの要素からして、世界一級の蒸溜所です。

多くの他の蒸溜所のウィスキーは、少々残念なことに樽買いして
オリジナルボトルを出荷するボトラーズの製品に個性を求めてい
くことが往々にしてあったりするものですが、前回のハイランド
パークとここはオフィシャルボトルの完成度が高いので、あまり
奇をてらったものに志向が変化することが少ないように思います。

この点からしても、頑固に高い品質を求めて(信じて)モノを作る
ことがどれだけ大事かということを教えてくれる蒸溜所ではない
でしょうか。

頑固さというと、モルトウィスキーコンパニオン等では蒸溜回数
2.5回と書かれているところ、コンマ5って一体なんだろう?
と当然のように疑問に思いましたけれども、その実は再蒸溜のと
きにウォッシュを入れるのだそうです。

このことも、フレッシュな印象のウィスキーに仕上がる秘訣では
ないでしょうか。そして2.5回蒸溜はここしかやっていない。

「最も塩っぽいウィスキー」として知られるスプリングバンクで
すけれども、もうひとつ語られることが多い「モルトの香水」を
醸し出している蓮華のような香り、ヘザーの甘さ、塩っぽくオイ
リーな舌触り、ヴァニラやナッツの風味、モルトの甘み等々複雑
かつ順々に姿を現す個性というのは、これもハイランド・パーク
と同じく丁寧な職人仕事だけが作ることのできる愚直な営みの成
果です。

かつてキャンベルタウンには30以上の蒸溜所があったそうです
が、現在でも生き残ることができているのはこの個性といわれる
人の努力の成果の賜物に他ならないと思います。

感謝!